268/02

「自分の中の作品にもう少しちゃんと向き合うことにした。
ふわふわと浮かぶものに価値を見出せず、アイデアなる言葉に吐き気すら覚えている。作品は生きているのだから無意味にクローンのようなものを量産するのではなく、これからを模索していて、そしてなんだか始められそうなのが物語という形。
1Roomをタイトルに写真を撮らせてもらっている。髪の毛を切らせてもらっている。ならもう少しファインダー越しに捉えた自分の中の女の子像に命を吹き込んでみるのもいいかもしれないなんて自分の中の想像が広がり始めている。
少し時間のかかる作業であるけど一人の女の子を通して物語を展開していこうと思う。
そこから何かこれからが見える気がすりから。」
 

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1Room The story of one girl /268/03

 

週末の日曜、月2回、終電を過ぎた
深夜遅くほど
いつの間にかまるで猫の寝床のように
お決まりになっている彼女の襲撃にも近い来訪
何をするわけでもなくひとしきり自分のことを話し
明け方になるあたりで仮眠をとり始発で帰っていく

 

この無防備な寝顔ときたら憎たらしいほど愛くるしい、そう思えてしまうのは異性の習性なのだろうか?
「ふうっ」とため息をつく自分の顔に笑みが浮かんでるのが不思議だ。

彼女は取引先の新入社員で、もう1年ほどになるか
取引先で見かける彼女はまさに別人で
まるで、金持ちの屋敷で飼われている猫のように
気位が高く社員と会話をしているのを見たことがない。

自分はひょんなことから言葉を書き始め
それを成合としている。
どっかのお金持ちが女性ものの化粧品を作るというので
その化粧品のパンフレットに使うコピーを依頼され
打ち合わせに会社に訪れた時が最初の出会いだった。
ぶっきらぼうな彼女。運ばれてきたお茶はテーブルに
投げるように置かれる。
社長は気にも留めず、にやにやと自分が作った化粧品を自慢げに語っている。
まるで昭和のバブル期を思わせる事務所。
ここのところクライアントの質が悪い。
もともとこの仕事で食べていこうと始めたものではない
最初は言葉の言い回しが心地よいと仕事としてお金をいただくようになった。
知り合いのデザイン会社からは1点30,000くらいで受けてグロスだと
100,000位で受けなさいとアドバイスを受けてたのだが
もともと好きで言葉綴ってたのもあるので紹介が紹介を生んで
それも値切られどんどん質も悪くなってきた。
まあ、もらえるんだったらいいか、なんて諦めに似たものあって
そのせいかお客さんの質も悪くなるばかり
この社長はロマンだの夢だのばかり語っているし
おかげで3か月ほど予定が狂う。
何とか、完成までこぎつけたのはほんと奇跡に近い。

その打ち上げってので言葉を交わしたのが彼女とのきっかけ

やたら高くまずい中華料理屋に連れていかれ
社長の自慢話を聞かされ2次会、3次会と連れまわされる
そんな打ち上げは3日も続いた。ありえないやろ、今どき。
次の仕事の打ち合わせもあるので最終日には
3次会お決まりのカラオケを断ってさっさと家に帰ることにした。
ようやくこの仕事とも区切れがついたことに胸をなでおろしてると
お店を出た矢先「ねえ」と彼女が声をかけてきた。
「つまんないから付き合って」って
コンビニでビールとつまみを買わされ
どこにも入ることなく夜の繁華街を朝まで付き合わされた。
帰り際Lineを交換させられる。
「それじゃあ、またね」ってのが最初。
クライアントからクレーム出るのもなんだからね
とりあえず、ミッション終了。

 

彼女からはそれから連絡もなく
3か月余りたったころ
「今から合わない?」なんて突然の連絡。

余談だけど
個人的に猫が好きなのである。
それもなつかない猫
あいつらの媚びない態度はなんだか癒されてしまう。
誰かに合わせて生きてる自分にとっては見ていてすがすがしいから。

まあ、そんな猫とも被る彼女は
自分の中では少し興味があるところ
2時間後に待ち合わせして駅の近くの公園で待ち合わせることにした。

30分遅れの彼女、悪ぶれることもなく
そしてなんだかまたどこのお店にも入らず
コンビニでビールとつまみを買い、夜の街の徘徊。

そんなことが月1、当たり前のように続くことになった。

 

 

「ねえ、○○さん。明日暇だからここにいていい?」

何回か徘徊を繰り替えして
年齢的にも次の仕事に差し支えが出てきたのもあり、家に呼ぶことにした。
いつの間にか彼女はいりびたり猫だ。
野良猫に餌をあげるとこうやってねぐらにするのだろう。

少し間をおいてから
「出るときは鍵ポストに入れといて。」そう答えた。

 

 

安心したのか
「○○さんの見てる映画おもしろいね」
そう言うといつもつけている映画を不思議そうに見ている

 

 

「わたしもストーカーみたいなものなのかな?」

 

 

「ねえ?」

 

いやいや君は
よくもそんなに
無邪気に土足で俺の中に入ってくるよね。

 

「ある意味ね」
少し高鳴った胸を押さえながら彼女にそう答えた。

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被写体
rina 

写真 /文 /Tシャツ
@hagu,umitsuki
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1Room The story of one girl /268

 

 

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imaginationは誰かのためにあるわけでない
この物語も誰かに向けではなく自分に対する清め
共感は必要なものであるけど
まずは自分自身に向けてのもの。
だからおごることもなく、自慢するものでもなく
謙虚にそして人に配慮が持てる。
誰かにを向けることでなく
まずは自分の世界を構築しなおそうと思っています。

被写体の方に感謝です。
もちろんこれはフィクションであり
登場人物とは何の関係もありません。

 

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