–帰省–
自宅に帰る新幹線の中
片道5時間、JRに乗り継ぎ2時間、そこから私鉄で40分ほど
飛行機が嫌いな自分はいつも電車。
それでも自力でないところの勝手にどこかに連れていかれる感は
電車といえども苦手である。
だから本当は二日くらいかけ鈍行の各駅停車の電車あたりで帰るのが心がざわざわせずに良いものなのに。
それに住んでいる場所から距離が離れていくことに
無償に孤独感やら不安やら寂しさに押しつぶされそうになる。
子供の頃に隣町に一人で、初めて行くことがあった。
夕方の4時当たり。自分の家が離れていくことに無性に寂しくなって泣きそうになったことを覚えている。だからなぜだかこの時のトラウマに似たものが今でも呪縛みたいにあったりする。
自分は、こんなちっちゃな冒険をしてきたことが少しづつ大人に近づいているのだと今でもそう思って過ごしている。
余談だけど、そういうちっちゃな冒険のおかげで自転車は好きだ。
今まででの最高の冒険はママチャリで20㎞くらい遠くの海に自転車で出かけたこと。
なんて、閉じ込められた新幹線の中そんなこと思いながら早く解放されたいこの気持ちを押し殺している。
実家暮らしが長い時は今いる場所に向かう時のほうが孤独感があった。
いつの間にか逆になったな。
帰る場所は実家ではなくなったのだろう。
突然の彼女からの写メ
「どうしたの?」
「えっ?転んだ?」
「大丈夫なの?」
「………….
えっ?俺の部屋じゃん
「ちゃんと入れたんだね」
「しばらくこっちだから、ごめんけど冷凍ものだったら冷凍庫に入ってるから勝手に食べて。」
「あと、三つ葉、ちゃんと見てたんだけど少し元気なくなってるから水分だけはあげといて」
もちろん返事はない
最近なんだか立場が逆転している
それでもこれぐらいずかずかと、なついてくれたほうが心地が良い。
「早ければ来週あたりには帰るから」
新幹線の息苦しさを忘れさせてくれる彼女からの写真
様々なことあるけど、人生なんて
その時その時の一つに集約して進んでいるのかもしれない
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被写体
@rina
写真 /文 /Tシャツ
@hagu,umitsuki
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1Room The story of one girl /268