ハルセト 03

 

霧雨は朝、小雨へと変わる。

 

-ハルセト03 「#はる」 –

 

「..651..652…..」
コンビニまで偶然にも999歩
家まであとちょっと

毎朝恒例の
クリームパン、低脂肪牛乳
その前の野菜ジュース

今日はついてる。
だって大好きな雨
うん、雨。

ビニール傘にあたる雨粒が
くるくるって傘回すたび
踊りだす。

「713..714….」

 

あっ、行きの酔っぱらいの人
まだいるんだ。
髪の毛に雨かかってくしゅくしゅしてる

可愛いかも…♪

やばい、あれはきっと行倒れっていうんだ
たぶん、たぶん旅人で旅の途中とか…

いいな~あ..♪

なんて今日はほんとに調子がいい
.
.
.
.
.
ーアスファルトと土の濡れた匂い
肩をたたく雨音ー

泥酔して外で寝ていることに気づく
以外にも心地よいこと。
これまでだと周り気にして
すぐ起き上がってただろうに
まあ、どうでもいいやってなってる
雨音の心地良さに
もう少し寝ていよう
今日の予定も明日もないのだから
.
.
.
.
.
.
「あのっ」

「あのっ」

「もしもし?」

「もしもーし」
「もしもしって言うんだやっぱりこんな時」
.
.
.
.
.
「パツ.パツ….」
ビニール傘にあたる雨音
.
.
「あのー大丈夫ですか?」

「風邪引きますよ。こんなとこで寝てたら。」

 

雨の音に交じった柔軟剤の匂い

 

聞こえる声にうっすらと目を開けると

ピンク色のサンダルに
白い服を着た女の子が
自分の前に座り込んで傘をかけていた。

 

「飲みすぎたんですか?」
「大丈夫ですか?」

 

「お腹すいてないですか?」

「あっ、クリームパン食べます?」
「牛乳もありますよ」

 

「えっ?だれ?」
路上で寝てるやつに声かける奴なんてそうそういない
結構やばい?ひと?

クリームパンって?…….

「なに?…..」

 

「あの~怪しい人ではないですよ」

「あっ、ちょっとこのままいてくださいね」

 

ごめんなさい。ちょっといろいろあったんで
君と相手する余裕ないんです

 

 

 

「よいしょ」

「はい、これ」

「ほら、風邪 引いちゃいますよ」

 

戻ってきた女の子はそう言って
真っ白い大きなバスタオルで
子犬拭くみたいに頭をくるんでくれた。

 

「うちに来ます?」

「このままここにいると死んじゃいますよ。」

「あっ、大丈夫ですよ。いつも知らない人に声かけてる変な人じゃないですから。それに今日雨の日でしょう。雨の出会いに悪い人はいないんですよ私。」

 

いやいやありえないでしょう、雨の日にって

「大丈夫です、しばらくしたら起き上がれますから
なんかすいません。こんなとこで……..」

 

お願いだからほっといてくれよ、今それどころじゃないんだから

 

 

「よいしょ、そういうわけにはいかないですよ。ちょっと頑張って立ってください。」
「ほら行きますよ。」

 

 

女の子はそういうと瀬人の腕を肩にかけ
歩き出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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