ハルセト 04

 

 

 

ーハルセト04 「#Room」ー

 

….けど..はい、はい、あっ、未成年じゃないです。
はい、明日、御昼過ぎでいいですか?はい、13時。身分証ですね。
はいわかりました。では明日お伺いします。」

 

真新しいフローリングの冷たい床
薄暗い室内に外の雨音、踏切の警報音。
大量バスタオルにくるまった裸の自分がいる

 

「大丈夫ですか?」
「やっぱりちょっと熱出たみたいですよ。」
「洋服、びしょ濡れだったんで脱がしちゃいました
乾かしてるのでこのままくるまっていてくださいね。」
「今日はもうお出かけしないので下着とか着替え明日買ってきますから。」

 

 

彼女は奥の部屋からしまい込んでいた電気ストーブを出してそばにおいてくれた。
オレンジ色の光が凍えていた体を温め、また眠りに誘う。

 

どうしょうもない出来事に
明日の未来も見えなくて
あの時こうしていれば
あの時に戻れるのならば
神様お願い
もう一度あの日に戻して

なんて
なんかの分岐点か
なんかの試練みたいな時に
いつも逃げ出して
自分の穴に潜っていた時に
なんだか入り込んだ世界に

子供の時にさ
ずる休みして
母親に甘えてプリン買ってきた頃みたいに
何かに甘えて
孤独にさいなまれて無性に寂しくなったあの時に
そんな時、迷い込んだ世界に
そんな瞬間を

今思い出して

何とかなるってのが
誰かのおかげで
自分は
ほんとは何にもしてなくて

人の運がいいよねとか
自分は何か才能に恵まれてるんだとか

何度も
自分のおかげで

何度も
悪いのはたぶん世の中のせいで

なんて

思ってた時よりは
幾分か
幾分か
そっから抜け出していて

がんばってきていたはず
なんだけど
気づいたはず
なんだけど

何も変わってない
自分のエゴに
バスタオルの匂いと
電気ストーブの温かさが

あの時の
プリンの味を思い出させていて…..

 

 

踏切の音が頭の中をこだましている。

 

 

 

 

 

 

 

 

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